バラバラの知識がつながる瞬間
- sumioyamashita2847
- 9月15日
- 読了時間: 3分
たったの一言で色々なことが全部つながる時があります。
昨日、作曲家・ミュージシャンの松任谷正隆氏がパーソナリティを務めるTOKYO FMの「ちょっと変なこと聞いてもいいですか」というラジオ番組の過去のアーカイブの音声を聞いていました。
工業デザイナーのケン奥山こと奥山清行氏がゲスト出演されたときのものです。
過去に何度も聞いていますが、久しぶりに聴きたくなりました。
奥山氏がGM(ゼネラルモーターズ=アメリカの自動車会社)を辞めて、イタリアのカロッツェリア(自動車のデザインや先行開発、ボディの生産を行う会社)ピニンファリーナに転職し月収200万円以上、秘書3人、社用車貸与の身分から、月額税込み19万円になった時の話の中で「イタリアの所得税は65%もあって、手取りは8万円ちょっとしかない」という言葉を聞いたときにピンときました。
実際には税金というより国民負担率が60.8%(2020年データ)で、日本の47.9%(同じく2020年値)よりもはるかに高くなっています。
その前に小田原在住の慶応義塾大学教授 井出 英策 先生と東大の神野 直彦 教授の雑誌「潮」の対談に、『(日本は)「租税負担率が軽すぎるから、現役世代の生活が苦しい」と考えています。』という一文がありました。
中途半端な負担率のため、公的給付などの受益も少なく、更なる支出を強いられるために生活が苦しくなるという意味だと思います。

そして昨日の朝日新聞「SUNDAYマネー」のページには、「年々重くなる社会保険料 負担の実態は」の見出しのもと、国内の国民負担率の推移グラフがあり、『給付増え「負のループ」に」の小見出しが躍ります。
収入が伸びない中で社会保険料が増えて、手取りが減る、家計を圧迫している。負のループを抜け出すには給付と負担の見なおし、給付財源の拡大の取り組みが欠かせない、としています。
6月議会の一般質問で、イタリアの避難所について触れました。スフィア基準という基準を満たしており、デザート付きの温かい食事がテーブルに座っていれば運ばれてきます。

避難所は家族単位でテントが張られ、中にはベッドがあります。
こうした避難所の運営はボランティアですが、調理は元々料理人が登録しており、その他の方も訓練を受けて登録しています。
こうしたボランティアの日当や調理等にかかる費用は国が負担し、社員がボランティアに出ると、その分の補償が国から会社に入ります。
こうした調理設備のあるトレーラーや、ベッド、仮設トイレなどは全国の200か所の拠点に配備され、登録ボランティアは30万人です。先に述べた精度があるので、発災時には会社を休んで被災していない人がボランティアに出向きます。
日本もいくらか変わってきましたが、避難所を被災者が運営するという前提は変わっていません。だからこそ食育団体や地域の防災団体が「防災食」をテーマになるべく鍋ひとつでお皿を汚さないラップ調理などの講座を行います。
イタリアがこうした制度が可能なのも、60%を超える高い国民負担率がその裏付けなのでしょう。
一例として被災時の話をしましたが、老後の備えでも同じでしょう。
高い国民負担率でも、それさえ払っておけば何の心配もなく、残った手取りはすべて可処分所得として使うことで、経済も回ります。
イタリアの高い国民負担率と、それが実現するスフィア基準。
日本の中途半端な負担率と給付、それを高いから下げろとでも言いたげな論調のメディア。
そこに政策協議と説明をしない政府と政治家。
こうしたことが今の日本の生き辛さにつながっているのだ思います。



コメント